パーキンソン病とは？
刈谷市の鍼灸整体院が解説

パーキンソン病の定義と概要
パーキンソン病とは、脳の神経細胞が徐々に変性し、運動機能に影響を及ぼす神経変性疾患の一つです。主に中脳の「黒質」という部分にあるドーパミン神経細胞が減少し、脳内のドーパミンが不足することで発症します。ドーパミンは体の動きをスムーズにする役割を持つ神経伝達物質であり、不足すると震えや筋肉のこわばり、歩行障害などの症状が現れます。
パーキンソン病は50〜60代以上の中高年に多い病気ですが、まれに40代以下で発症する「若年性パーキンソン病」もあります。発症初期の症状は軽微で見逃されがちですが、進行すると日常生活に支障をきたすため、早期発見・早期治療が重要です。

主な症状と進行の特徴
パーキンソン病の主な症状は以下の4つに分類されます。

・振戦（しんせん：手足の震え）
安静時に手や足が震える（特に片側から始まることが多い）
精神的な緊張で震えが強くなることがある。

・筋強剛（きんきょうごう：筋肉のこわばり）
体が固くなり、スムーズに動かせなくなる。
特に腕や脚の動きがぎこちなくなる。

・無動・寡動（むどう・かどう：動作の遅れ）
動き出すのに時間がかかる（歩き出しにくい）
顔の表情が乏しくなり、瞬きの回数が減る。

・姿勢反射障害（しせいはんしゃしょうがい：バランスが取れない）
転びやすくなり、転倒事故のリスクが高まる。
体が前傾し、すり足歩行になることが多い。

症状は進行性であり、時間の経過とともに重くなりますが、早期に適切な治療やリハビリを行うことで進行を遅らせることが可能です。

発症の原因とリスク要因
パーキンソン病の明確な原因はまだ完全には解明されていませんが、主に以下の要因が関連すると考えられています。

加齢：年齢を重ねることで神経細胞が自然に減少し、発症しやすくなる。

遺伝的要因：家族にパーキンソン病の人がいる場合、発症リスクがやや高まる。

環境要因：農薬や重金属、化学物質への長期間の曝露が発症リスクを高める可能性がある。

ストレス：慢性的なストレスが神経細胞に影響を与え、病気の発症を促すことがある。

これらの要因が複雑に絡み合い、ドーパミン神経細胞が減少することで症状が現れると考えられています。

パーキンソン病の診断方法

臨床診断のプロセス
パーキンソン病の診断は、症状の観察と神経学的検査を組み合わせて行われます。主に以下の方法が用いられます。

問診：症状の経過、家族歴、生活習慣などを確認

神経学的検査：歩行テスト、指タッピングテストなどで運動機能を評価

画像診断：MRIやSPECT（脳のドーパミン神経機能を評価）を用いることもある

薬物反応試験：ドーパミン補充薬を服用し、症状が改善するかを確認

早期診断が難しい場合もあるため、専門医の診察が重要です。

エコー検査の役割と有用性
近年、パーキンソン病の診断や進行評価にエコー検査（超音波検査）が活用されています。
特に黒質超音波検査（TCS：Transcranial Sonography）は、脳の黒質の異常を視覚的に捉える方法として注目されています。

エコー検査のメリット
・非侵襲的（痛みを伴わず、放射線の影響もない）
・リアルタイムで神経組織の変化を観察できる。
・早期診断の補助として有効（MRIやCTと併用可能）

パーキンソン病の早期発見に役立つ可能性があり、今後の臨床応用が期待されています。

神経学的評価とその重要性
パーキンソン病の診断には、神経学的評価（Neurological Assessment）が不可欠です。主に以下のテストが行われます。

UPDRS（統一パーキンソン病評価尺度）：運動機能、日常生活動作、精神機能を総合的に評価

ホーン&ヤール重症度分類：症状の進行度を5段階で評価

嗅覚検査：嗅覚の低下が初期症状として現れるため、補助的診断に活用

神経施術やリハビリの適切なプランを立てる上でも、定期的な神経学的評価が重要となります。

パーキンソン病の一般的な治療法

パーキンソン病は進行性の疾患ですが、適切な治療を行うことで症状の進行を遅らせ、生活の質（QOL）を向上させることが可能です。現在の主な治療法には、薬物療法・外科的治療・リハビリテーションの3つがあります。

薬物療法：ドーパミン補充とその効果
パーキンソン病の主な原因は脳内のドーパミン不足であるため、薬によってドーパミンの量を補ったり、ドーパミンの働きを助けたりすることが基本的な治療になります。

代表的な薬の種類
レボドパ（L-dopa）
最も効果的な薬で、脳内でドーパミンに変換される。
初期にはよく効くが、長期使用で「ウェアリング・オフ現象」や「ジスキネジア（不随意運動）」が現れることがある。

ドーパミンアゴニスト
ドーパミンと似た作用を持ち、神経細胞のドーパミン受容体を刺激する。
レボドパより効果は穏やかだが、初期治療として有効。

MAO-B阻害薬・COMT阻害薬
ドーパミンの分解を抑えて、作用時間を延ばす。
他の薬と併用されることが多い。

抗コリン薬・アマンタジン
震えの症状に効果があるが、副作用（認知機能の低下など）に注意が必要。

薬物療法の注意点
パーキンソン病の薬は長期間にわたる使用が必要なため、副作用の管理や適切な服薬計画が重要です。また、栄養状態（特にたんぱく質の摂取）が薬の吸収に影響するため、医師や薬剤師と相談しながら治療を進めることが大切です。

外科的治療：脳深部刺激療法（DBS）
脳深部刺激療法（DBS）とは？
DBS（Deep Brain Stimulation）は、脳の特定の部位に電極を埋め込み、微弱な電気刺激を送ることで症状を軽減する治療法です。
DBSのメリット
・薬の効果が不安定な場合でも症状を安定させることができる。
・薬の量を減らせる可能性があるため、副作用が軽減される。
・手術後に刺激の強さを調整できるため、症状の変化に対応しやすい。

DBSのデメリット・リスク
・外科手術が必要なため、感染症や脳出血などのリスクがある。
・認知機能が低下している場合は適応が難しい。
・完全に症状を治すわけではなく、補助的な治療法である。

DBSは薬の効果が不十分な患者さんに有効な選択肢ですが、慎重な適応判断が必要です。

リハビリテーションと理学療法
パーキンソン病では、運動機能が徐々に低下するため、日常生活をできるだけ長く維持するためのリハビリが重要です。

・運動療法
・歩行訓練（すり足を防ぐ、大きく歩く意識を持つ）
・ストレッチ（筋肉のこわばりを防ぐ）
・筋力トレーニング（転倒予防のための下肢筋力強化）

・作業療法
・日常生活動作（ADL）の訓練（食事・着替え・入浴などの動作をスムーズに行うための練習）

・言語療法
発声訓練（声が小さくなりがちなため、大きな声で話す練習）

鍼灸施術による
パーキンソン病の症状緩和

パーキンソン病患者への鍼灸施術の適用
・筋肉のこわばりを緩和
鍼を用いて筋肉の緊張をほぐし、関節の動きをスムーズにする。

・自律神経のバランスを整える
自律神経の乱れがパーキンソン病の症状に影響を与えるため、鍼刺激で調整する。

・血流改善
血行を促進し、神経の働きをサポートする。

神経施術とパーキンソン病

パーキンソン病は、中枢神経系の異常により運動機能が低下する疾患です。そのため、神経の働きを改善するアプローチが重要になります。神経施術は、神経系に対する適切な刺激を加えることで、運動機能の向上や症状の軽減を図る施術法です。

・神経伝達の改善
パーキンソン病では、神経細胞の機能低下により筋肉のコントロールが難しくなります。神経施術により、神経の働きを活性化させることで、運動機能の回復を目指します。

・筋肉の過緊張を緩和
神経の不具合によって生じる筋肉のこわばり（筋強剛）を軽減し、スムーズな動作を促します。

・バランス機能の向上
パーキンソン病では、姿勢反射の異常により転倒のリスクが高まります。神経施術により、脳からの信号伝達をスムーズにし、バランス感覚の改善を目指します。

最新の神経施術技術とその効果
近年、神経施術の分野では、エコーを活用した施術が注目されています。
エコーガイド下での神経施術のメリット
・神経の状態をリアルタイムで確認できるため、安全で的確な施術が可能
・神経の圧迫や異常部位を正確に特定し、適切な刺激を加えられる
・最小限の刺激で最大の効果を引き出せるため、身体への負担が少ない

当院では、エコーを活用した神経施術を取り入れ、より精度の高いアプローチを行っています。

当院における
パーキンソン病の統合的アプローチ

施術計画の立て方
・初回評価（問診・エコー検査・神経評価）
患者様の現在の症状や生活の困難点を詳しく把握
エコー検査を行い、筋肉・神経の状態を可視化
神経機能の評価を実施し、施術の方向性を決定

・個別施術プログラムの作成
震え（振戦）が強い方 → 神経施術・エコーガイド下の鍼灸
筋肉のこわばりが強い方 → 筋膜リリース・ストレッチ施術
歩行障害がある方 → バランス強化の神経施術＋運動指導

・定期的な評価と施術の見直し
1ヶ月ごとに効果を評価し、施術の調整を行う
症状の変化に応じて施術方法を最適化

症例紹介と施術後の改善例
症例①：70代男性（初期のパーキンソン病）
主訴：手の震え（振戦）、歩行時のすくみ足、姿勢の前傾
施術：エコーガイド下の神経施術＋鍼灸施術
結果：3ヶ月の施術で震えの頻度が減少し、歩行がスムーズに

症例②：60代女性（中期のパーキンソン病）
主訴：筋肉のこわばり、腰痛、転倒リスクの増加
施術：筋膜リリース＋神経施術＋運動指導
結果：施術開始後1ヶ月で姿勢が改善し、歩行時のバランスが安定

症例③：80代男性（進行期のパーキンソン病）
主訴：食事中の手の震え、睡眠障害、便秘
施術：自律神経調整の鍼灸＋神経施術
結果：施術後1ヶ月で睡眠の質が向上し、便秘も改善

よくある質問と回答

Q1. 鍼灸施術はパーキンソン病に本当に効果がありますか？
A. はい、症状の緩和に有効です。
鍼灸施術には、筋肉のこわばりを和らげる効果や神経の働きを整える作用があります。特に振戦（震え）、筋強剛（筋肉のこわばり）、睡眠障害、自律神経の乱れの改善が期待できます。

Q2. エコー検査は痛みを伴いますか？
A. いいえ、エコー検査は痛みを伴いません。
エコーは超音波を使った画像診断技術であり、放射線を使用せず、体に負担がかからない安全な検査です。当院では、エコーを活用して施術の精度を向上させています。

Q3. 施術の頻度や期間はどのくらいですか？
A. 症状の程度によりますが、一般的には週1〜2回の施術が推奨されます。